シェルター(収容箱)のあれこれ

(3) 中身を守る堅牢さ

記事提供:㈱大栄製作所
2015.10.28
 ●温暖化でより過酷に

 温暖化というと、私たちにとっては日本で開催された地球温暖化防止京都会議で採択された「京都議定書」が一番ピンと来るのではないでしょうか?ただこの京都議定書が採択されたのは1997年なのでもう20年近くが経過しています。したがって、温暖化の影響がより具体的に私たちの日常に表れてきているように思われます。

 まず温暖化で思いつくのは、夏の最高気温がついに日常的に40℃を超えてきており、最近はよくニュースで報じられています。このように夏場の気温が高温化する場合、無防備な普通の箱では、箱の表面温度は70℃以上となり、箱の内部温度も日射量だけで50℃以上となります。したがって、使用環境が35℃以下の無線設備などの電子機器は、当然故障する確率が高くなります。そこで壁等に断熱材を入れ直射日光の熱を遮断したり、エアコンで箱内部の温湿度管理が行えるような環境が当然求められます。

 また、日本に到来する台風なども今まで以上に強力となってきており、8月に台湾に上陸した台風13号は、中心気圧が900hpa・最大風速60mと台風の中でも最強のカテゴリー5「スーパータイフーン」と呼ばれ、このスーパータイフーンと呼ばれる台風だけでも今年は5個も発生し、年々増加傾向となっています。このため、台風の暴風で建物が壊れたり、風に乗って飛んできた飛来物等が壁に突き刺さったりと甚大な被害がニュースとなっていますが、無線設備等の大事な電子機器を収容するシェルターにも、それに耐えうる強度が必要です。

 更に、冬は冬で、各地で連日降り積もる大雪や一晩に大量の雪が積もるドカ雪で、家屋が倒壊する等のニュースを散見することが多くなってきています。このような積雪の環境条件は、シェルターにとっても同様であり、ひどければ、ひと冬雪に埋もれたままの状態になる可能性もあります。そのためシェルターについては設置される地域・環境に合わせた性能を持たせることが重要です。
 

●塗装は3層耐重塩害

 シェルター本体は、内外面とも鉄という金属でできています。通常鉄など金属の多くは大気中の酸素に触れることで酸化し錆を発生させます。この身近に使用されている鉄製品の場合は、表面の錆が内部に向かって侵食する性質が強く、表面を錆の浸食から保護する必要があります。ここで一般的に行われている表面保護方法が塗装です。

 塗装の多くは金属に塗料を塗布することで表面に皮膜を作ることから、塗装と塗料は切っても切れない関係にあり、塗料という素材を塗装という技術を使うことではじめてすぐれた機能が発揮されます。いくら良い塗料を使っても用途を間違えたり、塗装技術力が伴わなければ機能が発揮されず、すぐ錆びついたりしてしまいます。特に、年々厳しくなる自然環境の中では、より一層塗装方法の違いによる錆びの発生が顕著になってくるのではないでしょうか。

 この厳しい自然環境に耐え長く使用していただけるように、シェルターには標準として塩害対策塗装を採用しています。塩害対策塗装とは、屋外に設置される鋼構築物に使用されている塗装で、各々工業会で定められています。一般的に知られているのが日本冷凍空調工業会の基準で、海岸線近くに設置する空調機の室外機の塗装方法としてこの塩害対策塗装が使用されています。塩害対策塗装は、海岸線からの距離により下記のような2種類に区分けされていますが、弊社のシェルターには条件の厳しい耐重塩害の塗装を行っております。
 

 また、耐候性の強い塗装でも表面の塗料の厚さが薄ければ劣化が早まります。したがって、弊社のシェルターでは鋼製の素地に対し防錆用塗料で下塗り、上塗り塗料との密着性と耐久性を高める塗料で中塗り、耐候性・防食性が高く外観仕上りの良い仕上げ塗料で上塗りを行う3層の塗装を行い、塗膜の厚みについても「下塗り:60μm、中塗り:30μm、上塗り:25μm 合計115μm以上」の塗膜厚を確保し、高い耐久性を実現しております。
 
●地震・台風・大雪もなんのその

 ここでは、シェルターって実際どんなに頑丈なのかについて、シェルターの標準的な規格についてご紹介します。
  シェルター規格 : (1)耐震強度  水平1.0G、垂直0.5G
            (2)風圧荷重   2,824N/㎡
            (3)積雪荷重   2,940N/㎡ 
            (4)防水性能   保護等級4
 まず、最初に耐震強度ですが、耐震強度と言えばどれくらいの地震の揺れに耐えられるかということになりますが、水平1.0G、垂直0.5Gとは人間や建物にかかる瞬間的な力の事で加速度の単位となります。水平1.0G、垂直0.5Gと言っても、これでは判り難いので、簡単に翻訳しますと震度7に耐えうる強度となります。これは阪神淡路大震災や東日本大震災相当の地震でもシェルター内部の機器を破損から守ることができます。

 次に風圧荷重ですが、どれくらいまでの風が吹いても耐えられるかということになりますが、2,824N/㎡ではやはり判り難いので、簡単に翻訳しますと風速60m/secの風がシェルターの壁面等に当たっても変形しない強度となります。これは、前項で取り上げた台風13号の最大風速と同じとなります。また、台風の場合など風と一緒に石や枝等が巻き上げられ飛来物として飛んでくる場合がありますが、こんな場合シェルターの外板が薄い金属(アルミ等)の場合は、飛来物で穴が開いてしまったり、凹んでしまうことがあります。弊社の標準シェルターの場合は、外板は板厚が1.6ミリの鋼板を使用していますので、多少の物が当たってもビクともしません。

 積雪荷重は、雪の重さにどこまで耐えられるかになりますが、2,940N/㎡は、1㎡当たり屋根が耐えられる重量となります。これも簡単に表しますと、積雪1mまで耐えられる強度ということになります。但し、雪の多いエリアには「積雪2m」や「積雪4m」の特殊タイプ等も選べますので、北海道から沖縄まで設置が可能です。

 最後の防水性能は、水が入り込むことをどれだけ防げるかになります。この保護等級とは、JISで定められている規格のランクで、雨にぬれてはダメな0級から水没しても大丈夫な8級までのランクがあり、シェルターの場合はその中間の保護等級4級となります。規格によると、4級のレベルは「いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響をうけない」となっています。したがって、シェルターで言えば、実質的にはシェルターの周りが洪水で水浸しになっても、洪水が換気口や電線の引込口まで来なければ、水が中に侵入することはなく、内部の機器が水没することはないとうことです。

このように堅牢なシェルターですので、安心・安全に、そして長期に亘ってご使用いただけます。

 

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