めっきのあれこれ

(3) 溶融亜鉛めっき豆知識

記事提供:イワブチ㈱
2013.10.31
 ●めっきの上にも塗装することはできるの?
 溶融亜鉛めっき上に塗装をすることは可能です。塗装をすることで機材の耐久性を向上させる効果があります。ただし、塗装をする際は、溶融亜鉛めっきとの密着性を考慮して塗料の種類の選択に注意が必要です。
 
●亜鉛めっきは何で白くなるの? 白くなったらダメなの?
 溶融亜鉛めっきが白くなるのは、亜鉛の腐食で生成した腐食生成物に覆われるからです。この生成物は一般的に白錆と呼ばれています。白錆の発生によるめっきの消耗はわずかで耐食性にはほとんど影響がないとされています。
●不めっき部があったらダメなの?
 不めっき部とは局部的にめっきの皮膜がなく、素材面が露出しているものを言います。亜鉛の犠牲防食作用(鉄より先に亜鉛が腐食すること)により、φ5.5mmまたは5mm幅までは鉄素地の腐食の進行を抑えることができます。
 
●めっき箔が付いていると耐食性に影響あるの?
 溶融亜鉛めっきで生じるめっき箔は、亜鉛箔です。よって、耐食性が悪くなることは一切ありません。めっき箔が付いていても製品の機能上、問題なければ影響ありません。 

 
●めっきをすると鋼材の強度は変わるの?
 製品特性に影響を与えるほどの大きな強度変化はありません。
 
●溶融亜鉛めっきに使用する亜鉛の種類は何なの?
 溶融する亜鉛はJIS規格で定められており、JIS H 2107に規定されている蒸留亜鉛地金1種、またはこれと同等以上の品質の亜鉛地金を使用しています。さらに亜鉛の浴の純度は97.5%以上と規定されています。

●めっきと塗装、どっちが良いの?めっきは安いの?
 溶融亜鉛めっきと塗装では、それぞれ特徴が異なります。溶融亜鉛めっきが塗装との比較で優れている点としては、前述のとおり、犠牲防食作用、密着性、長期耐食性に優れることが挙げられます。また、コストの比較に関しては、初期費用において塗装が優位である場合があるものの、維持費を考慮した場合には溶融亜鉛めっきが優位であるとの報告事例があります。また、めっきを施す対象物が比較的小物である金物類では、塗装よりも溶融亜鉛めっきの方が低コストに加工することができます。一方、美観上の付加価値が要求される用途では塗装に優位性があること、また、塗装は現場施工が可能であるのに対し、溶融亜鉛めっきはめっき工場においてのみ加工が可能であることなどの差があります。
 
●めっきできる品物の大きさは?
 溶融亜鉛めっきをする品物の大きさに制限があります。溶かした亜鉛が入っている浴のサイズによって、めっきができる品物の大きさが決まってしまいます。

●どんな構造でもめっきはできるの?
 溶かした亜鉛の中に品物を浸漬させてめっきをしますので、溶融した亜鉛が容易に流入、流出できる構造であれば、パイプの内部、ボルトやナットのねじ部にまでめっきを施すことができます。しかし、品物に密封された部分や空洞があると、その部分はめっきをすることができません。
 
●溶融亜鉛めっきの弱点は?
 溶融亜鉛めっきは、犠牲防食作用、保護皮膜作用により優れた耐食性を持ち、一般的な地域では長期間使用することができますが、溶融亜鉛めっきは塩分が多く存在する海岸に近い地域や腐食性ガスが多い温泉地域などでは、一般的な地域と比較して短い期間でめっき皮膜が消耗してしまいます。このような地域に対応するため、溶融亜鉛めっきよりも耐食性に優れためっきが実用化されてきています。
次回は溶融亜鉛めっきの寿命と新しい高耐食めっきMAG+1について紹介します。


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