電力装置の底力

(2) 電気は見張っていないと増え続ける

記事提供:㈱中央製作所
2014.8.29
 ●情報通信全体では使用する電気が増え続ける
  以下の右側のグラフは、経済産業省が2008年に発表した「IT機器における日本国内の総電力消費量予測」のグラフです。今時珍しい右肩上がりです。左のネットの情報流通量と比較すれば大したことありませんが、2006年を起点と考えるとそれでも20年で5倍以上になると考えられています。
   
  また、NTTグループの総電力消費量は、日本全体の約1%を占めているそうです。使い過ぎだ!なんて決して言いません。もっと使って!とも不謹慎なので言いませんが。でも、なぜこんなに増えるのでしょうか? 一つには電気(情報通信=ICT)を使ったほうが便利で、トータルで見ると省エネだからだと思います。
 一例ですが、スマートメーターという言葉を最近よく耳にします。Wikipediaには、「従来のアナログ式誘導型電力量計と異なり、電力をデジタルで計測し、メーター内に通信機能を持たせた次世代電力量計のこと。」と書いてあります。スマートメーターの利点はたくさんありますが、まず遠隔自動検針です。ものすごい数の各家庭に検針員の方が赴くのに使用するガソリンなどの消費エネルギーと、通信に使用する電気とでどっちが省エネかと考えてみると、やはり通信のほうが省エネなのではないでしょうか。
 なお、スマートメーターにはそのほかに、家電との連携や電力消費量の見える化の機能があり、省エネはもとより賢い節電などに効果があると言われています。
 
●見える化とネットワーク監視

 家庭では、コンセントに付けて電流を表示する【エコ何とか】という商品がいろいろありますが、「見える化」して何をするかというと、使っている電気量を把握して不要な機器のスイッチをOFFにして節電しましょうということだと思います。
 ところが、データセンターの場合にはそうはいきません。そもそも止めることが出来ないのですから。データセンターで使用される分電盤には、多くの場合、左の写真のようにブレーカー1個1個に電流センサーが取り付けられています。「見える化」をしているわけですが、なぜでしょうか?  前回、楽天のデータセンターの話を書きましたが、データセンターにおいて、データセンター事業者がサーバ機器を設置する場所、ネットワーク回線、電源・空調等の設備を用意し、そこに、データセンターのお客様が所有するサーバ機器を持ち込むサービスを、ハウジング(コロケーション)と呼びます。お客様はハウジング契約をし、ラックを借りて機器を入れて電力を供給してもらい使用します。電源についてはアンペア契約となり、ブレーカーもそれに合わせたものになります。前回の連載第1回「電気はあって当たり前」で、主に短絡事故などによるブレーカーの遮断についてご説明しましたが、当然、使いすぎてもブレーカーは落ちてしまいますので、データセンターのお客様にとってはサーバを止めてしまい、その業務に支障をきたすことになります。
 また、データセンター事業者としても契約以上の電気を使ってもらっては困ります。更にデータセンターの使用する電力は莫大ですから、電力の削減はその経営に直接影響します。少し古い記事になりますが、日経のITproというホームページに
『「見える化」無くしてデータセンターに未来なし』にくわしく述べられています。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20110608/361184/?ST=cloud&P=1
 そのためにデータセンター事業者は、分電盤の個々のブレーカーすべてに電流計測装置を搭載して監視するということになります。
 弊社では交流はもちろん、直流についても電流あるいは電力量監視機能を搭載した、いろいろな分電盤を製造しています。監視装置は計測、通信からサーバのアプリケーションまで自社で開発しております。

 ICTの進展に伴い、情報通信全体では使用する電気が増え続けると想定されますが、電気を正確に測り、少しでも消費電力の少ない機器を使用して効率的に電気を利用していければと思います。
 次回は「ブレーカーを増やすのはわがまま!!」 というタイトルで、交換・増設が可能なプラグインタイプのブレーカーについてご紹介します。

 

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