進化する通話録音装置

(2) アナログからデジタル対応へ

記事提供:㈱タカコム
2014.8.29
 ●デジタル化の波
 前回はテープ媒体で、音声自体もアナログ信号で扱っていた時代についてご紹介しましたが、時代はいろんな意味でデジタル化へと向かい始めていました。
 通話録音装置としてのデジタル化には大きくふたつの意味がありました。
 ひとつは回路技術として見たアナログ回路からデジタル回路への転換、もうひとつはISDN(サービス総合デジタル網)に代表されるインフラのデジタル化への対応でした。
 
●デジタル回路技術への取り組み
 これまでの通話録音装置は、アナログ信号をそのままテープに記録していましたが、その特性上ランダムアクセス、高速アクセスには向いておらず、動作上、操作上での制約がいくつかありました。例えば、任意の録音内容を次々に探し出して聴いたり、録音中に録音済の通話内容を再生したりするといった動作の実現は困難でした。これらはデジタル回路技術とデジタル記録媒体を用いることで解消できる可能性がありました。
 デジタル記録媒体としては、当時普及し始めたフラッシュメモリを内蔵した各種メモリカードが候補にあがり、最初にデジタル記録を実現した製品はCFカード(コンパクトフラッシュメモリカード)を採用したVR-D160でした。
 

 CFカードを採用した通話録音装置
 VR-D160、VR-D160W

このCFカードは多チャネル対応機のVR-500シリーズにも採用されています。
 
  
  多チャネル対応通話録音装置
  VR-500
その後はSDカードの普及に合わせ、VR-D170/175へと商品群の展開が図られました。
 

  SDカードを採用した通話録音装置
  VR-D175

 フラッシュメモリのような半導体メモリを採用することで、録音を継続しながら、ネットワーク上のPCから任意の録音ファイルを再生できるといった製品を実現でき、通話録音装置の利用範囲が大きく拡がりました。利用範囲の拡大については次回詳しくご紹介いたします。
 
●ISDNの普及
 1988年にISDNのサービスが始まり、デジタル回線が普及するにつれ、それに対応できる通話録音装置の開発が急がれました。
 ISDNのふたつのサービス、INSネット64、INSネット1500に対応すべく、それぞれ専用の回線インターフェースボードを独自に開発することで実現されました。このボードには、独自に開発したFPGA(Field Programmable Gate Array)や高速RISCプロセッサが搭載されています。ここで開発された技術はVR-400シリーズで商品化され、現行商品のVR-700シリーズにも継承されています。VR-400、700シリーズについては次回詳しく取り上げます。
 

  INSネット1500に対応した
  回線インターフェースボード
  (VR-700シリーズ用)


●ユーザビリティの向上

 テープ媒体からデジタル媒体へ移行したことで、ユーザーの利便性が飛躍的に向上しました。主な特長は以下のとおりです。
 ①音声の劣化が無く、記録された音声データを素早く検索できる
 ②省スペース・低コストで高品質の通話録音が可能に(記録メディアの小型化、大容量化が進み、録音時間が大幅に伸びたため)
 ユーザー環境においては、一般企業におけるPC・ネットワークの普及による急速なデジタル化や、アウトソーサーとしてのコールセンターの台頭など、デジタル媒体の通話録音装置の需要やマーケットもますます拡大してゆきます。

 次回は「音声の『保存』から『活用』へ」についてご紹介します。

 

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