シェルター(収容箱)のあれこれ

(1) シェルターってなあに?

記事提供:㈱大栄製作所
2015.6.26
 ●シェルターといえば
 皆さんはシェルターと聞くと何を思い浮かべますか?
 シェルターを辞書で調べてみますと、
 「避難壕、防空壕、特に核攻撃に対する避難所を核シェルターという。」
 とありますが、年配の人ですとアメリカとソ連の冷戦時代に、核攻撃を想定した核シェルターを思い浮かべる人も少なくないのではないでしょうか。それ以外では、アメリカなどの竜巻被害から身を守る地下室や御嶽山等の火山噴火の噴石や火砕流から身を守る避難小屋や、簡易なものでは利用者を風雨から守るために駅やバス停等に設置されている上屋のこともシェルターに含まれる場合があります。今ではDVの被害者の一時避難場所等もシェルターと呼んだりして、広範囲に使用されるようになっています。
 
●人ではなく装置を守ります
 私たちのシェルターとは、人を守るのではなく通信用機器等の装置を風雨等の自然環境から守るために考えられたものです。一番良い例として、今では日本国中どこに行っても携帯電話が繋がりますが、これは携帯会社がそれこそビルの屋上や郊外・山の中等いたるところに基地局を設置しているからで、この基地局には電波を受信するアンテナや受信した電波を電気信号に変換して携帯会社の交換局に送る無線設備等が設置されています。この基地局に設置された無線設備等を収容しているのが私たちのシェルターです。たぶん皆さんも、よく郊外で目にするのではないでしょうか。                
 では、なぜシェルターが必要かといいますと、無線設備は電子機器ですので取扱説明書に「使用環境:0~35℃ 相対湿度20~80%、但し結露しないこと」とか記載されているのを皆さんも見たことがあると思います。これはメーカーがこの機器はこの範囲内で使用してくださいと言っているものです。しかしながら、真夏の直射日光が直接機器当たった場合は、機器のケース内の温度は35度を簡単に超えてしまいますし、真冬であれば当然0℃以下になります。また、当然雪や雨で機器が濡れてはいけないのは勿論ですが、多湿で結露が生じても電子回路の接点等が腐食して機器全体が動作しなくなってしまいます。
 人は雨が降れば傘をさしたり、風雨が強くなれば建物に避難したりし、また、暑さ寒さは冷暖房でしのぐように、通信用機器を厳しい自然環境から守り、長期間に亘り安定して使用するために必要なのが私たちのシェルター(収容箱)なのです。
 
●種類はあるの?
 シェルターは、外観からはあまり違いが無くどれも同じように見えますが、大まかには2種類に分けられます。1つは「溶接一体構造式」と、もう一つは「断熱複合パネル組立式」となります。
 シェルターは、外観からはあまり違いが無くどれも同じように見えますが、大まかには2種類に分けられます。1つは「溶接一体構造式」と、もう一つは「断熱複合パネル組立式」となります。
 溶接一体構造式とは、軽量鉄骨軸組みの骨組に加工済みの外装鋼板を組立、接続部は連続溶接を行い一体形とする工法です。
 特徴は、溶接一体構造のため剛性が高いので地震に強く、また鋼板で外周を覆った不燃構造のため防火性・耐漏水性に優れています。
 断熱複合パネル組立式とは、断熱材(スチレ
ンフォーム)を金属板の外板及び内板でサンドイッチした複合パネルを使用して、屋根、壁、扉及び床を組み立てていく組立工法です。
 特徴は、工場内での組立以外に現地での組立が可能なため道路や敷地が狭い場所にも設置可能です。またアルミ等の軽い金属も使用できるため軽量化することができ、ビルの屋上などにも設置可能です。
 この二種類を基本に、設置場所、例えば沖
縄や離島等ではシェルターを容易に点検に
行くことが出来ないうえに、台風等による塩分を含んだ風雨に長期間さらされてしまうことから、鉄板の代わりに錆びにくいステンレス材を使用したりします。また、本州でも海岸線近くに設置するシェルターでは、塩害からの被害を防ぐために材質をガルバ―鋼板に変更したり、塗装を耐重塩害塗装にするなど設置環境等を踏まえた最適な仕様としています。
 


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