コネクタあれこれ

(2) 光コネクタの絆とは

記事提供:三和電気工業㈱
2013.8.30
 絆(きずな,きづな)のもとは,犬・馬・鷹などの家畜を,通りがかりの立木につないでおくための綱からきています。現代では,人と人との結びつき,支え合いや助け合いを指す言葉となっています。光コネクタに置き換えれば,光ファイバ同士の接続を確実に信頼してつなげることだと思います。
 今回は,光コネクタをつなぐために必要な互換性についてお話ししたいと思います。互換性の主なものは,【かん合互換】,【性能互換】,【光学互換】の3つです。
 
 ●【かん合互換】について,まず,光コネクタの種類について説明します。市販されている光コネクタは,実に様々なタイプの光コネクタがあります。同じタイプの光コネクタ同士が正常にかん合し,正常な特性が得られる互換性があることが重要です。
 光コネクタが開発された当初は,ねじやバヨネット締結方式でしたが,今は,操作が簡単なプッシュオン結合方式が主流です。スライドロック構造は,SC形・MU形・MPO形光コネクタが該当します。レバーロック構造は,LC形・MT-RJ形が該当します。
 メーカを問わずかん合できるには,寸法・形状・構造が同じになるように規定する必要があります。かん合標準規格として,JIS規格やIEC規格があります。タイプ別に規定が作られています。今では,この規格に従って製造され,適合したコネクタが標準品として使用されています。JIS規格で制定されているものは,20品種に及びます。それらを一覧表にしてみました(表1)。JIS規格の一部には,IEC規格を併記しているものがありますが,これはIEC規格と整合が取られていることを意味します。このタイプのコネクタは,グローバルスタンダード品光コネクタと言えます。
 
●【性能互換】を保証するため,信頼性試験を実施します。光学特性・かん合性・機械的特性・環境的特性・操作性を確認します。その試験方法は,JIS C 5961(光ファイバコネクタ試験方法)・IEC 61300規格群・Telcordia GR-326・Telcordia GR-1435等に沿って実施します。
 評価判断の目安となるものは,光学特性-挿入損失・反射減衰量-の変動量の大きさを確認します。この光学特性値や変動量の規定は,受渡者間の協定によることが多いのですが,IEC 61753規格群で環境カテゴリ毎に分け,性能互換を規定する作業が進められています。光学特性は,デシベル(dB),1 mWを基準とするdB(dBm)単位で表します。このデシベル(dB)とは、信号強度の相対的な差異を表すための単位ですが,“B”は米国の電話器を発明したグラハム・ベルからとられているのをご存じですか。
 
 

●【光学互換】は,光プラグ(写真1)の円筒形及び角形フェルールのPC・APC研摩形状パラメータの互換(外径・球面偏心量・ファイバ引込み量・ファイバ位置)及び材料特性(部分安定化ジルコニア等)を規定します。IEC 61755-3規格群には,SMFのφ1.25mm及びφ2.5mmのジルコニアフェルールのPC及びAPC研磨の規定がり,ファイバの種類・等級ごとに光学互換のパラメータが規定されています。

 そして,光コネクタの光学特性は,フェルール端面研磨の種類(PC・UPC・APC等)により決まります。その研磨によって付いた数μmから10μmの【傷】は,反射減衰量に影響を与えます。IEC 61300-3-35では,その傷の種類・大きさ・範囲・傷の数を反射減衰量のレベル別に規定しています。最近,画像処理技術により,傷の判別を自動的に行う装置も販売されています。顕微鏡観察では作業者による判断基準に差異がありますが,この装置を使うことで均一的な判断基準ができるようになります。
 みえないところで,各社は,研磨フィルムの開発・ジグの改良を現在も進めています。傷の少ない,安定的に供給できる研磨技術の開発に日々努めています。

 最後に注意しなければならない事項として,フェルール端面の汚れがあります。汚れたままでかん合した場合,目標とする光学特性がでません。端面チェックと端面清掃を行い,キレイな光コネクタで互換性能を維持して下さい。
 

● 次回は,『たくましくDIYを生き抜く』を紹介いたします。 

 

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