進化する通話録音装置

(4) 光、IP電話時代への対応と進化

記事提供:㈱タカコム
2014.12.26
 ●ネットワーク機能を活かした録音装置
 前回ネットワーク対応を強化した大型の通話録音装置をご紹介しましたが、電話機ごとに受話器から音声を取得し録音する小型の録音装置もネットワーク対応を始めました。
 ネットワークとの親和性が向上すると、PCとの相性もよくなり、使い勝手が格段に向上しました。またAPI(Application Programming Interface)を提供することにより、次に挙げるようなお客様独自の付加価値の高いシステムの構築なども可能になりました。
①お客様ご利用の業務アプリからシームレスに通話録音内容の確認
②音声認識、感情解析システムとの連携による『お客様の声:VOC
 (Voice of Customer)』の活用
③通話録音データへお客様独自の情報を付加し顧客管理システムで活用
 
ネットワーク対応の小型通話録音装置 VR-L145H
 
 このモデルでは装置本体には操作ボタン、表示器類は一切なく、その操作はすべてPCから行うため、装置本体の小型化と、設置場所の制約が大幅に改善されています。
 
●光ファイバ網の普及に伴うVoIPへの対応
 これまでご紹介してきました通話録音装置は、アナログであれISDNであれ電話専用回線を対象としていました。データ通信の世界も光ファイバ網の普及によりブロードバンド化が急速に進み、このデータ通信を利用して電話の音声を伝える技術、いわゆるVoIP(Voice over Internet Protocol)が、通信コストの低減につながることから脚光を浴びるようになりました。
 VoIPはその名の通り、インターネットのプロトコルを利用して音声データをリアルタイムで伝送する技術です。このようなしくみのため、それまでに蓄積された通話録音装置用のハードウェア、ソフトウェアの設計資産はほとんど流用できず、VoIP対応に向けた新たな要素技術開発が急がれました。
 ISDNのように高品質の通信が保証されている方式とは異なり、通信プロトコル上で発生し得る様々な状況への対処が開発の課題となりました。その主な課題とは、
 ①音声パケットの遅延、ゆらぎ、欠落の補償
 ②音声以外のパケットによるプロセッサ負荷増大
 ③録音対象以外の音声パケットによるプロセッサ負荷増大
  といったものが挙げられます。
 これらの課題に対しては、
 ①VoIPに関連するパケットのみをリアルタイムで抽出するハードウェアパケットフィルタ
 ②パケットキャプチャ能力の向上とリアルタイム処理を実現する専用ソフトウェア
 ③高性能マルチコアプロセッサの活用
 これらの組み合わせで製品化を目指しました。
 2011年にはVR-850VoIP(96ch)、翌年にはVR-810VoIP(16ch)を投入し、以降のVoIP対応録音機の基盤が築かれました。
 

 
VoIP対応通話録音装置 VR-850VoIP(96ch)  VR-810VoIP(16ch)
 
●携帯電話の通話録音への対応
 電話の通話録音への取り組みとして、アナログ、ISDN、VoIPと順調にその対応範囲を拡げてきましたが、携帯電話だけはそれまでの通話録音装置の機能アップでも実現することは困難でした。スマートフォンであれば専用アプリを入れ、そこで録音したものを収集するようなことは技術的に可能であったとしても、どのスマートフォンでも動作保証をするのは容易ではありません。
 携帯電話の通話録音については、通信キャリアが提供する録音サービスを利用し、その音声データを収集するかたちで実現しました。
 
携帯電話録音システム VR-MP100シリーズ システムイメージ

●進化するビジネス環境へのサポートパートナーとして
 通信コストの低減につながるVoIP回線はユーザーにとってメリットが大きく、VoIP対応の通話録音装置へのニーズは必然的なものとなりました。こうした固定電話回線における『アナログ・デジタル・VoIP』と進化を続ける中、特に近年急速に進化している携帯電話については、プライベートツールからビジネスツールへとその利便性から広がりを見せる一方、特に金融機関様ではコンプライアンス(法令遵守)の観点からモバイルの通話録音も重要視されるようになってきました。
 また、音声通話の手段が多様化する中、ビジネスコミュニケーションは、主に以下を目的に通話の音声を一元管理するニーズが年々高まっています。
 ① コンプライアンス管理(各拠点を統括した管理)
 ② 分散化されたコールセンターなどのオペーレタ応対品質の向上
 ③ 音声認識や感情解析システムの利用により、顧客満足向上や市場ニーズの把握
 (『お客様の声:VOC(Voice of Customer)』の活用)
 ④ 各拠点の通話録音データの長期保存やバックアップとして
 こうしたアナログ電話網、ISDN、VoIP、移動体通信に代表される携帯電話など、音声通話のビジネスコミュニケーションの進化に対応すべくタカコムの通話録音装置の今後の進化にどうぞご期待ください。

 

 

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