高上金物あれこれ

(1) 曲がっても強いロッド棒

記事提供:㈱浅羽製作所
2013.6.28
 ●「高上金物」はこんな製品
 電線類を設置する場合には地上からの高さが決められており、交通に支障を来さないように配慮することとなっています。その基準は各行政により異なり道路占用許可基準要綱等で規定されています。一例として東京都では道路上で5m、歩道上で3mとなっています。しかしながら、この高さが確保出来ない場合がしばしば発生したため、家屋側の取付位置を高くするために考案されたものが「高上金物」です。  
    

●最初は鉄製
 高上金物は家屋の棟木や破風板に取り付けて使用することができます。最初に作られた製品は鉄の角パイプを使用した製品でした。しかし、鉄パイプは重く取付作業も大変だったことや風圧荷重や雪の重さによって折れ曲がってしまうことがありました。さらに家屋構造も変化し棟木が細くなってしまい重い金物を取り付けることが困難になってきました。
【 改良前の鉄製品 】
           
●新しい材料への挑戦
 鉄製の製品の問題点を解決するため、本格的な改良に着手しました。
昭和54年電電公社建設技術開発室で改良検討を開始し、当時としてはあまり使われていなかったFRP(ガラス繊維強化プラスチック)ロッドという材料を使用することになりました。
 およそ3年の研究開発の結果、軽くて強い製品に生まれ変わりました。その開発過程で取り組んだ内容についてご紹介します。 

  (1)長期信頼性を確保するために各種試験を行うわけですが、その前に試験条件を決める必要があります。家屋の屋根付近に取り付ける製品ですから、当然気象条件を無視することはできません。そこで台風等の強風時における風速の変化を考慮し、地方気象台や気象研究所の専門家の意見を聞いて各種試験条件を導き出しました。
  (2)商用試験で現場にて取付けして頂いた後、その現場を訪問して取付状況を見学させて頂きご意見を伺いました。その結果、屋外線をFRPロッドに沿わせるために【線留め】という部品が3個付いているのですが、それを1個も使用していないもの、ビニールテープで留めてあるもの、線留めを4個使っているものなど様々でしたが、それぞれの理由をお伺いし充分考慮した上で部品構成を決定しました。
●生まれ変わった高上金物
 FRPロッドを使用した現在の高上金物は次のような特徴を持っています。

   (1)風圧荷重や雪の重みが掛かってもFRPロッドが曲がることにより、根元に掛かる荷重が軽減されます。
  (2)FRPロッドを使用することにより軽量になり、そのため取付用の釘も減らすことが出き作業性が向上しました。
  重量:鉄製5kg→FRP製棟木用3kg、破風板用2kg
   釘 :鉄製13本→FRP製棟木用6本、破風板用6本
 
 
【 改良後のFRP製品 】 

<棟木用>></棟木用>
 

       
<破風板用>></破風板用>
           
●変化する家屋形態
 家屋の形態はさらに変化しています。棟木や破風板というものが見えない構造や、 家屋の壁面に電線類を一切取付けせずに地下を使ったり、自営柱を使ったりと様々です。

  次回は「変化する家屋形態へのチャレンジ」についてご紹介します。

 

 

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