ポケットダイヤラの歩み

(1) ポケットダイヤラの歩み

記事提供:東名通信工業㈱
2015.6.26
 ●ポケットに入る工事用電話ツール誕生

 電話回線の工事・保守の発展にともない色々な種類のブレストが使用されてきました。その当時、線路試験用送受器(LTTR 仕3790-3)もかなり多く現場で使われており、「111」試験や「113」試験は、内蔵のマイクロスイッチによりダイヤルパルス(DP)の送出が可能でした。しかしそれにはある程度の経験(と技術)が必要であることと、プッシュ回線の登場で、プッシュ回線用の電話機も必要となってきました。
 それらの市場要求から、線路試験用送受器のブレスト部とクリップコードの中間に接続して使える①「ポケットダイヤラ(初版)」の誕生となりました。それは、市場に多く出回っていたブレストをより有効に活用でき、ブレストで実施していた「111」「113」試験が経験無しで容易に可能となる、非常に小型で便利な製品として現場にすぐに受入れられるという画期的なものでした。


●現場の声から、短縮メモリの増加へ!
 ポケットダイヤラの誕生後、特に宅内MDF、IDFでの利用を中心に現場での使い方も広がるとともに、試験項目も追加となり、任意に短縮登録できる件数を5件に増加させたモデル②「ポケットダイヤラⅡ」へとバージョンアップしました。今の時代とは違いCPUやメモリなどは使用していないため、機能をアップさせてもコストは上げられない中で、設計者の苦労がありました。
 さらにポケットダイヤラを接続したままフックスイッチが使用できるよう機能追加されました。

●広がる用途に合わせて生活防水など機能改善
 その後プッシュ回線の割合が多くなるにつれ、ブレストだけでのダイヤルができなくなった事でさらにポケットダイヤラの活躍する場も需要とともに増加していきます。民需からの要求も多くなってきたこともあり、機能改善に合わせて筐体を一新。屋外での使用を考慮して生活防水構造を採用し、ブレストの接続端子部を内部に収める構造にすることで頑丈にしました。さらに短縮メモリを10件に増加し、構内交換機の内線呼び出しの試験も可能となるPBX仕様も設定した③「ポケットダイヤラⅢ」へと進化しました。
 ほかにも、現場での使い勝手を考慮し連続使用時間を従来の3倍へ増加させました。現在に比べて当時は電池の入手性もそれほどよくなかったため、設計者のこだわりで実現した当社の隠れた自慢です。
 

 
●ISDN回線の登場
 1988年、NTT様によって「INSネット64」「INSネット1500」の商標で商用サービスが開始されました。電話回線1本で2回線分での利用が可能となり、電話とFAXを同時に利用するなど、SOHO向けに需要も伸びてきました。1996年頃になると低価格のターミナルアダプタの発売が相次ぎ、インターネットへのダイヤルアップ接続用途で個人や中小企業向けに一気に普及しはじめました。
 1999年、ポケットダイヤラシリーズもついにISDNへの対応を可能にした④「ポケットダイヤラAD」を開発し販売開始することとなりました

次回は「こんなところで活躍!!」についてご紹介します。

 

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